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環境に対する取り組み

 

小豆カスの再利用(環境問題を考えて)

 【きっかけ】

「お客様から課題をいただき、120%でお応えする」、私は常にこのことを考えて仕事に取り組んできました。
しかし最近、「ただ豆を売買するだけでは・・・」と疑問を抱くようになりました。
趣味のアウトドアからヒントを得たのですが、昨今“環境問題”が大きく取りざたされている時代の中で、私も仕事の中から環境について何か役立つことはできないものかと考えるようになりました。
そこで私が着目したのは、“小豆カスの産業廃棄物”です。小豆から産業廃棄物が出るって皆さん知ってましたか?
小豆は先物取引でも盛んなように大きな市場を持っています。それだけ日本中で需要も多く食生活に浸透していると言えましょう。小豆を加工する過程で大量に出る小豆のカス。今回のテーマはこの小豆カスの再利用方法について研究していきたいと思います。

【小豆カスってどんなもの?】

 1.餡(あん)カス(小豆皮)

こし餡を作る時に排出されるもので、こし餡は小豆の皮を取り除いた部分(でんぷん質)が砂糖と練られて出来上がります。皮付きの餡は一般的に小倉餡と呼びます。一部再利用してますので、記事を紹介します。

あんかす
 

 ~ 培地に餡カス添加 ~
 1.三重県科学技術振興センター (5月16日(火) 日本農業新聞より)

・ハタケシメジ栽培で餡カスを栄養剤に使うと低コストで生産できることを確かめた。従来の大麦カスと併用することで、効果が現れたと言う。
・技術者によると三重県は和菓子の製造が多く材料が手に入りやすい。培地にも地域のものを使って地元産をアピールしていきたい。

 2.研究結果(三重県林業センターから入手)
・培地基材としておが屑と混合することにより、エノキタケの子実体収量は増加した。成分として「グリセロール・アラニン・グリシン」の含有量が増加していたことから、これらの成分が甘味性に寄与したと推測された。
・餡カスをエノキタケ菌床栽培の培地基材として利用することにより、収量が増加する甘いエノキタケを栽培出来ることが明らかとなった。

 2.食品汚泥

餡を絞り機で圧縮させた時に出る汁です。この汁は2種類あり、一つは“煮汁”、もう一つは“微粒なでんぷん質”です。右の写真はこれら2種類が混ざったものです。保健所からも認可されており、人体に害はありませんが特有の臭いがします。

あんかす

この2品目は、お得意様T社で“数十万円/月”かけて産業廃棄物として処理している現状です。2品目共に害が無く、まして食べることも出来ます。

【まずは成分測定から】

餡カス、食品汚泥に含まれる成分を公的機関に依頼し測定してもらいました。
何に利用するにも成分を知ることが第一!!

<<餡カス、食品汚泥 成分試験結果>>
< 成分名 餡カス 食品汚泥 備考
水分の割合 88% 90%
乾燥物 ND ND
炭 素 42.82% 48.07%
水 素 6.36% 6.82%
窒 素 1.93% 8.11%
残留物 酸素+灰 酸素+灰
その他

ND:測定値がゼロのこと


【小豆カスの再利用の進行状況】

小豆カスの成分測定をしてみてどうにか有機肥料に使えないものか?と考え、実際に小豆カスはお得意様のT社から提供していただき、そして有機肥料として使用していただける農家を探すために7件の農業経営者と交渉してみました。そのうちの1件で日本オーガニック農産物協会(NOAPA)認定農家の協力を得て有機肥料として使用していただくことになりました。ここでは、まずスタートできたことを報告するとともに、今日まで確認・整理された事項を発表したいと思います。

1.小豆カスの使い道

肥料、推肥として使うことが出来ます。
☆肥料とは:土壌中で不足しやすい栄養(窒素・カリウムなど)を補うための養分。
☆推肥とは:肥料の仲間で植物性の物(草やわら)を使って作る肥料。

2.栄養素

畑等に還元する場合【窒素・リン酸・カリ】が重要にりますが、その内窒素が最重点になります。成分結果表から単独での使用は栄養価が不足しているため、例えば玄米籾がらわらなどを加えて養分を高める必要があります。今回、S農園でも籾がら等と混ぜて使用します。

3.運搬方法

実用化された場合、水分が高いため品質の安定運搬方法を検討しなくてはなりません。今回はT社と検討の結果、小豆カスを機械で圧縮し水分を約60%程度まで落とし、容器に入れて運搬することにしました。

4.化学肥料と有機肥料の違い

私自身、肥料のことは全くの素人ですが、一般に有機肥料は化学肥料より即効性が無いと言われています。化学肥料は成分そのもので(例えば窒素など)、無機質のため植物は根からすぐに吸収できます。一方有機肥料は土の中で有機から無機へ分解される過程があります。植物は無機になったものでなければ吸収できません。即効性が無く植物が吸収できるまで時間がかかるとはこのような事なのです。とかく化学肥料は良くないと思われがちですがそうではないのです。しかし科学的に証明されていませんが有機肥料で作った植物は「丈夫」といわれているのも事実です。このようなことから有機肥料で即効性があることが大きなポイントではないでしょうか?

5.肥効対策

有機肥料の即効性。これは一昔前まではありえないとされてきました。しかし近年、ひとつの明るい兆しが見えてきました。「EM菌」注1)というものが発見され、これを応用することにより有機肥料の即効性が現実的なものになるようです。この菌の使い方は様々で、水質の浄化作用や土壌改良材などもあるそうです。詳しくは“地球を救う大変革”比嘉照夫(著者)で書かれています。興味のある方は是非ご覧下さい。

注1)

「EM」→「Effective Micro-organisms」
「EM」とは:数万種類の微生物の内、利用価値がある微生物を集めタンクで複合栽培したもので、乳酸菌・酵母菌・糸状菌などを中心に形成されています。特に好気性菌と嫌気性菌が液中で共存しているのが特徴。

EMの顕微鏡写真

6.小豆カスの再利用に取り組んでみて...

一般に我々は家庭からでる生ゴミ、食品関連企業から出る食品の産業廃棄物など全てが有機肥料として利用できればゴミが減り土地還元と考えがちになります。確かにこのサイクルが出来ればどんなに環境のためになるか、心から願っています。しかし有機肥料における最大の敵は“異物”です。中でも金属・ガラスなど完全に取り除くのが難しく、しかも目立ちます。圃場をゴミ捨て場にしたい農家など存在しません。リサイクルの重要性を理解し分別収集の徹底をすることで、はじめてこれら食品ゴミが有機肥料として活用できるのです。まして昨今の一般消費者の健康意識の高まりをみても、少しくらい高くても有機肥料を使用した自然に近い食品を求めるようになってきているのも事実です。これからの農業は化学肥料から有機肥料への転換を迫られてきている時代、私は、食品関連企業から出る食品の産業廃棄物と有機栽培農家への橋渡しが出来ればと考えています。「これからの食品企業はゴミ全般のリサイクル」が新世紀の大きな課題となるのではないでしょうか?

7.独り言

今回の小豆カスの再利用をまとめるにあたり肌で感じたのですが、21世紀は有機栽培(無農薬)が注目されることは間違いないと強く感じました。と同時に一般消費者は有機栽培であるが故の形や見た目にも理解が必要になると思います。限りなく有機栽培、無農薬に近づけば形の良い、見た目にも艶やかな商品はできません。あたりまえなのです、自然そのものだから...。よく見せよう、規格に合ったものを多く作ろうとするから、たくさんの薬品や更には遺伝子組み換え、DNA操作など疑わしい穀物が研究開発されてきました。人間の欲望は限りないですが、正しい方向に発展して欲しいと願うばかりです。最後に多くの方々に御支援いただきまして本当にありがとうございました。

このように小豆カスは有機肥料として再利用できるまでになりました。今後は使い続けてどうなるか?など長期的に見ていきたいと思います。そのようなことで小豆カスの再利用は一度休業します。

 
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